行政書士は、官公署への提出書類などを作成する専門家ですが、意外とというか、何ができるのかはよく分からないことが多いです。
しかも、出来ないこともある。
最近で言うと、コロナ関連で助成金や補助金の申請が増えています。
当然、行政書士の出番なわけですが、既に行政書士として活動されている方はよく分かっていることですが、一部の申請については行政書士が行うことができません。
これって、一般の人にとっては、まったく分からないこと。
その業務と言うのは、厚生労働省関係の申請。
「行政書士法の一部を改正する法律の施行に伴う行政書士と社会保険労務士の業務の調整について」という厚労省からの通達があり、そこでは
従来、行政書士は、社会保険労務士法第二条第一項第一号及び第二号に掲げる事務については、これを業として行うことができるものとされていたが、改正法により、今後は、行政書士の業務と社会保険労務士の業務とを完全に分離することとし、行政書士は前記の事務を業として行うことができないこととされたこと。
というようなことが記載されています。
ここから、行政書士は厚労省関係の助成金や補助金については、代理申請などを行うことができません。
知っての通り、行政書士は官公署への提出書類などを作成や申請代行ができるのですが、他の士業がやることはやっちゃダメよと決められています。
ですので、行政書士でもできそうなんだけど、できないっていう業務が意外とあったりします。
良くあるのは「登記」ですね。
これは、司法書士の業務になるので、行政書士が依頼を受けて登記の代理申請をしてはいけないことになっています。
「ことになっている」と言っているのは、表立ってやってはいない方がいらっしゃるようだという話から来ています。
まぁ、登記の代理申請も報酬をもらってやってはいけないのだから、報酬貰わなければいいんでしょとか言う人が出てきてもおかしくありませんし、実際そういうつもりやっている人もいるでしょう。
でも、それで懲戒処分とか受ける人もいますので、やらないのは当然で、どうしてもその案件を受けたいのであれば、その部分だけ司法書士に依頼するなどして適法に行うべきです。
そのためにも、士業間の繋がりも大事ですよね。
先輩行政書士への挨拶だけではなく、他士業の方への挨拶が必要な理由は、ここにもあるわけですね。
このような「業際(ぎょうさい)」の問題は結構複雑だったりしますから、新人行政書士や依頼を検討している顧客側の人たちも注意が必要ですね。